2013年初夏 大山登山
6月15日土曜日に神奈川県伊勢原市にある大山(おおやま)に登ってきた。
別に登山好きでもないのだが、この山に登るのはこれで2回目だ。
1回目は2010年9月18日土曜日で松枝の車で向かいケーブルで中腹まで行ってからの登山だった。
あの時の不甲斐なさは今でも憶えていて、その後1ヶ月くらいは歩行するのもきつかった。
それもそのはず、紫色になった足の親指の爪が、1ヶ月後すべて剥がれてしまったからだ。
その原因は爪をちゃんと切っていなかったことと、完全な運動不足。
それと登山用の靴やトレッキングステッキも持たず、手ぬぐいだけ持参しただけだったから。
標高が六甲山とあまり変わらないから油断していたのだ。
これが伊勢原駅で手に入るパンフレットであるが、決してこんな時間を信用してはいけない。
個人の体重、筋力、持久力によって全くかかる時間が違うのだ。
兎に角3週間後に富士登山が決まっているので、それまでにできる準備や覚悟をするがためのリベンジ登山である。
門前仲町駅から伊勢原駅までは新宿駅まで行った後、小田急に乗り換えて急行で向かう。
いずれにしても新宿駅へ向かうのに東京メトロ東西線と丸ノ内線を乗り継いでたどり着くのが一番分かり易く小田急新宿駅の乗り継ぎも早い。
前日に完全準備をしておいたので7:45には起床し門前仲町駅から出発した。
ところが、丸ノ内線が電気系統の故障で赤坂見附までしかいけないとのこと。
僕はこれに銀座駅停車中に気づき、きびすを返して向の電車で東京駅で下車し、中央線で新宿へと向かった。
これやその後の意志決定においてiPhoneが決め手になっている。
小田急新宿駅に着いたのが10時過ぎ、伊勢原駅までは急行で62分だからバス停には11時過ぎ到着。
ここで計画より約1時間の遅れ。
とりあえずバスの発車が11:25で暫く時間があったので買っていたおにぎりと1リットルのお茶を開封し
バス停のベンチで朝食としていた。
間もなくしてバスに乗り込み30分くらいを経て大山ケーブルの停車場に着いたのが12時前。
と言っても金比羅山に負けないくらいの階段を15分くらい登ってケーブル駅のある場所へたどり着く。
そうそう、今回の交通費についてであるが、新宿駅まではなんでもいいけど、
そこから大山登山をするには丹沢・大山フリーパスというものがある。
これは
1.小田急線(発駅から本厚木・渋沢まで)の往復きっぷが付いて、乗り降り自由!
2.周辺の観光施設・飲食店など、26の施設が優待・割引料金に!
3.更に便利!「Aキップ」を選ぶと、大山ケーブルも乗り放題!
というもので、要するに自家用車で行けない者にとってはお得ですという切符。
ただ、「Aキップ」は2140円、「Bキップ」は1480円と価格が全然違う。
※大人用の金額
この差の結論は要するにケーブルカーを利用するかしないかだけの違いだけ。
なので僕は今回完全装備で計画を練っていたからBキップを購入した。
これは小田急の自動券売機で買えるのであるが利用方法は
電車に乗る時には磁気の切符と同じく自動改札で入れる。
バス利用の時は、乗る時に整理券をとった上、降りるときに整理券を支払い用のボックスに入れて切符は運転手に見せるというもの。
運転手に聞いてそうはしたけど、はっきり言って整理券の必要性が未だにわからない。
話しは戻ってケーブル駅前からは、自力で登る場合、女坂という殆ど石垣のような階段でできた道を登ってゆく。
パンフレットでは20分くらい行けば大山寺という一つ目のトイレがある場所にたどり着く。
確かにこれは僕もそうだった。
金比羅山で言えば本宮まで登った時と同じくらいのエネルギー消費。
しかしこれは今の僕にしては後々オーバーペースであったことがわかる。
大山寺ではケーブルで唯一の途中駅があるが、まさかこんなところでその選択肢はない。
休憩を15分くらいして、トイレを探した後、女坂の続きを登っていった。
ただ大山寺に着いた後の女坂の続きがわかりにくい。
僕も含め、数人が間違って左折して迷ってしまう。
トイレの位置も寺の中ではなく続きの女坂を50mくらい登ったところにある。
その坂を登る途中、ケーブルに乗って降りてきた女性から
「この下はずっと階段なんですか?」と聞かれたので
「大体はそうですよ」と答えた。
なんかあっけなさそうな顔をしていたので、多分時間的にも山頂へ行ってなかったのだろう。
実際、本当の地獄のような道のりはケーブルを下車した後から始まるのだ。
女坂の到達地点である阿夫利神社下では休憩所があって
経営者の家族らしき人達が「休憩していきませんか」と、客寄せをしている。
でも決して、何かを買わせる呼びかけはしていない。
僕は煙草を取り出して、神社の修復をしている工事現場の人達に混じり一服していたら
娘さんが「どうぞ」と、丸椅子と灰皿をさりげなく用意してくれた。
この気遣いがあったら金比羅山も、もっと印象がよかったのにと思うくらい。
煙草を吸い終わって、大好きなソフトクリームの値段を観てみたら250円。
経験上、高速のパーキングや金比羅山でも300円はこえる。
ちょうど冷たいものがほしかったのでストロベリーのソフトを頬張った。
前に来た時はケーブルだったので店のおじさんに
「登山口は阿夫利神社の境内を登ったところですよね」
と念のため聞いてみたら
「そうそう、神社の本殿にたどり着いたら左手から山道になりますから」
とのこと。
真新しくなっていた神社の石段を登って手を洗い、本殿に登山の無事を祈った後、境内から平野部の景色を眺めた。
この時点で既に13時近くになっていたので、またまた昼食用のおにぎりとお茶で一服した。
なによりここからが、覚悟を決めて行かなければならないことを憶えていたから。
ましてや前日の雨と時折気づく雨粒から、前回よりもはるかに怖い泥濘(ぬかるみ)が待っていることは気づいていたから。
ここから山頂については多くの人が書いているし、ひとつひとつの難所をクリアするのが精一杯だったので
詳しくはコチラを参照して下さい。
ただ、経過時間は参考にはなりません。
山頂に登るまでにある富士見台は富士山どころか霧でなにも見えなかったし、
兎に角日没までに下山しないと完全に遭難することになるので、そればっかり考えていた。
やっとたどり着いた時には15時30分を回っており、山頂の売店でかき氷が食えなかった。
山頂の売店は15時閉店だから。
とりあえず野外の木組みのテーブルで残り少ないお茶を飲み干し、
体中からあふれた水分がかわくのを待った。
そうしていたら、天の恵みか雲が遠のいてゆき、眼下には関東平野が一望できるようになってきた。
僕のほかには家族4人の親子が記念写真を撮ろうとしていたので
「お撮りしましょうか?」と声をかけ、
僕と同じiPhone4Sのシャッターをきった。
一応確認してもらい大変喜んでもらえたし
特に子供たちがキャッキャ言って飛び跳ねていた。
いいよね。
こんなに喜んでもらえるなんて。
うふふ、僕は心の中で自分のことを「なんていいひと」と思っていた。
山の天気は変わりやすく、この風景が観られたのは5分くらいだった。
そうしていたら今度は小学生の低学年の女の子くらいの子供がいる3人家族の旦那さんから
「ここは夜に登るひとはいるんですかね?」と聞かれたので
「いやー僕は見たことないですね。」と答えた。
事実、観たことないし、看板で夜間登山禁止の看板もある。
それに鹿や熊だっているのだから。
そのほか、
旦那さん:「下山にどれくらい時間がかかるのですか?」
私 :「登るのにどれくらいかかりました?」
旦那さん:「女坂から2時間くらいでした。」
私 :「それは早いですね。
それなら全然大丈夫じゃないですか。
もうすぐ夏至なので6時までに着けば日は暮れていないですし。←夏至の説明が必要だった
下りは登りの3分の2くらいの時間ですから。←だいたいホント
でも下りは普段使っていない筋肉を使うので後できますよ。」←紛れもないホント
とか。
旦那さん:「次は高尾山に行こうと思ってるんですよ。」
私 :「あの山はここに比べたら楽勝ですよ。」←これはホント。高尾山は僕にしても山というより丘
とか。
旦那さん:「ケーブルは16時までですよね。」
私 :「いいえ。土曜日の最終は17時ですよ。」←万が一下山がきつくなって間に合えばの時のため調べてました
とか。
旦那さん:「神奈川で一番高いのはどこですかね?」
私 :「ここが一番だと思いますよ。」←結構適当な知ったかぶり。もしかしたら箱根のほうが高いかもしれない。
とか。
いっぱい質問されたのは僕が完全防備だったからだろう。
その家族はタオル一つもない散歩のような姿で来ていたからだった。
ただその旦那さんが富士山に登ったことがあるらしく、
その時の下山の地獄話しを聞かせてもらった。
そうこうしていたら16時近くなったのでそのご家族は来た道を降りてゆき
僕は見晴台ルートで下っていった。
登りの時以上に一番助かったのは、トレッキングステッキと軍手を持って行ったこと。
兎に角、泥濘だけではなく、一つ間違えば崖から落ちそうになる箇所も多々ある。
最後の男坂なんて嫌がらせのような急勾配の岩の階段が続く。
スキーと一緒で前傾姿勢にするため
丹田(へその下)に重心を置く意識をしながら
4足歩行のようにトレッキングステッキで負荷分散したから
前回よりはるかにましだったけど。
それでも膝の筋肉と両足の関節と親指は悲鳴を上げていた。
へとへとになってケーブル駅下に着いたときには18時30分近くで、
ぎりぎり日没に間に合った。
この経過時間の結論から言えば、要するに僕は老いぼれの豚野郎だったのだ。
バス停が見える場所について自販機でジュースをがぶ飲みし
18時52分初の伊勢原駅北口行きのバスに乗り一安心。
ただ、帰る前に温泉に行きたかったので駅に着いた後、
すぐさま日向薬師行きのバスに乗り換えた。
勿論丹沢・大山フリーパスがあるので追加料金不要。
目的地は駅から11分の温泉入口バス停より徒歩1分のニュー天野屋というホテル。
ここは日帰りだと800円で入浴できると書いてあったから。
ところがどっこい料金を聞くと1000円とのこと。
でも21時までに間に合ったし僕一人の貸し切り状態で、きれいな体と衣類になって満足満足。
今回の計画でひとつ気をつけなければならないと思ったのは
HPの情報をはなっから信用しないこと。
バスの時刻表は間違ってるし、入浴料だってそう。
事前に電話で確かめるにこしたことはない。
バスについてはiPhoneにバスあと何分と言う無料アプリがあったので安心して
大浴場外の縁台で一服し
温泉入口バス停20時36分発・伊勢原駅北口行きのバスで帰路についた。
小田急新宿駅の自動改札で切符を入れれば、それは出てこないので
それで旅気分は終了。
帰りは大江戸線一本で帰ることにしたけど、同じ新宿駅でも地下深く乗り換えに10分かかる。
そのエスカレーターを駆け下りるのが辛くて辛くて。
でもここでトレッキングステッキを使ったらアホやし。
まーでもこの日の目標は達成したので、富士登山の前に行っておいて
よかった。よかった。
おしまい