2005211()

レコーディング

 

シンガーソングライティングをやる者ならば一度はやってみたいのがレコーディングとライブだろう。

僕が初めてこの2つをやるようになったのは中学3年生の頃だった。

ライブについてはソロでやったことはあまりない。

殆どがバンドの形式で担当は主にギターかピアノのバッキングかボーカルだった。

当時、高校まで地元の明石に住んでいた頃は友人に中野というオーディオマニアの奴がいて、レコーディングとライブを行う時には必ずミキシングをやってくれていた。

だから、僕等はあたりまえのように演奏に専念できた。

しかし、高校を卒業してそれまでの付き合いがなくなるにつれ、いざ自分でレコーディングをやろうとした時思わぬ壁にぶつかった。

楽器の演奏はともかくボーカルの収録をやろうとすると今までのように集中して唄が唄えなくなっていた。

これは今でもそうなのだけれど、レコーディングをする場合、映画と同じようにどうしても二人以上の人間が必要になる。

演ずる側と監督する側。

唄う側と収録する側。


現在の技術から考えると機材がそろえば多重録音が簡単にできるので、ひとりでやれそうな気がするが、想像以上に時間と労力が必要になる。それ以上に集中力が倍以上いる。

昨年YASS(鈴木康博)さんのforWordというアルバムを聴き込んだのだけれど、これが見事な構成と編曲で出来上がっていた。しかもコーラスも含めて全て自作自演なのだ。

唄はオフコース時代の曲を今のYASSさんが収録したものなのだけれど、かつての音源以上に丁寧に作り上げられていた。

あまりに見事なレコーディングだったのでYASSさんへメッセージを書いたら返答があった。以下がそのやり取りである。

 

東京都の「じゅん」さん
 『Yass BOXForwardが宅配で届き早速聴かせて頂きました。今回のアルバムで特に聴き応えがあったのはコーラスアレンジでした。僕自身も在宅録音をPCMTRを駆使してやっていますが、ギターとボーカルに ついてはMIDIが使えないため一番時間がかかり神経をすり減らす作業です。クレジットによると編曲・演奏・ミックスダウンの全てをお一人でやられたようですが、そのあたりの苦労話などはどうなのでしょうか。特にコーラスの収録は全て多重録音されたのか、それともサンプリングを 作成したあとMIDIで制御されたりしたのか気になりました。』
ボクの場合はむしろMIDIのデータを修正していくのに一番気を遣います。機械っぽくならないように鳴らすのはかなり大変です。ギター、ボーカルはまぁプロですから譜面さえちゃんとしてればって感じがあります。
コーラスは全て多重録音です。オルガンの音などでアレンジをしてしまってMIDIで譜面に打ち出せばあとはそれを読んでいくだけです。足りない音があったり、気に入らないハーモニーがあったりで、録り直しがありますが、それはかなり大変です。息継ぎ(ブレス)の合う場所を探してパンチイン、アウトの繰り返しです。

 

ということだった。

 

確かにMIDIで収録する場合、僕の場合も同じ苦労をしている。

僕のベーシックな編曲のやり方は

 1.リズムセクションの基本パターンをパソコンで入力

 2.あらかじめ作成しておいたコード進行に合わせてピアノ系の音をリアルタイムで収録

 3.主旋律をパソコンで譜面入力

 4.リズムセクションのFill in や休止箇所を修正

 5.ベースをパソコンで譜面入力

 6.ストリングスやブラスの装飾系のパートをパソコンで譜面入力

 7.ここまで出来上がったMIDI音源をMTRの2チャンネルに集約

 8.ギターのパートをMTRに収録

 9.ボーカルパートをMTRに収録

10.リバーブなどのエフェクトバランスをチェックしながらミックスダウン

11.最終的に決定したバランスでできた音源をMDまたはCDに収録


という手順でやることが多いのだが、それぞれの段階で職人的な作業が発生する。

例えばリズムセクションの場合、ハイハット(シンバルを重ね合わせたものをスティックで叩く音)で4分や8分の音を刻むことが多いのだけれど、全てのハイハットの音を同じベロシティ(音量)にしてしまうと機械的に聴こえやすいので微妙に表拍と裏拍のベロシティを変えたり同じ裏拍でも2拍目と4拍目を変えたりすることで実際に演奏されているような音に調整することは当たり前のようにやっている。

それぞれのパートについてもそれなりのこだわりがあって、昨年勉強した音楽理論に基づいて編曲の幅も変わってきた。

特にストリングスやブラスの装飾系のパートについて、以前は単音での入力でしかやらなかったことが多かったが、実際に現場でやられている手法を応用しながら収録してみると、いかに音の厚みにたいして工夫が足りなかったかがよくわかる。

 

ここまできて未だクリアできない課題がある。

ずばりボーカルの収録だ。

これについては今後専門家にボストレーニングを受けようと思っている。

自分で聴いてみてもわかるが、発声のバランスが不安定で、唄いこみ足りていない段階や深夜に録音したりすることが多かったせいもあり、まず60%以下の表現力で妥協してしまっている。というかそれが今の実力なのだろう。

ただ今後ライブハウスなどへ応募することを考えるとデモ音源の再収録が必要になる。

ひとつの理由としてはソロで弾き語りをするための音源を作ってこなかったこと。

全くではないが、まるで備忘録のような段階で作り終えている。

はっきり言って自前の音源でありながら自分が審査員なら躊躇する。

今年は由井さんのバッキングもそうだが、いろんな機会を作って自分の実力に磨きをかけようと思っている。聴いてくれる人達の拍手などで客観的な評価をしたい。まずその突破口としてデモ音源の再収録に力を注ごうと思っている。

 

先月コンテスト用にYAMAHAのスタジオで収録した新曲がある。

残念ながらマスターMDを直接応募用に送ってしまったので手元にあるのはバックアップとして録った少々ピーク時の音が割れてしまっているものしかない。

ただこの音源は今の自分の実力を冷静に判断することも含めてここで公開しようと思う。

作品集についても改めて作り直そうと思うけれど、これにはかなりの時間がかかると思うので何時になるかはわからない。

まだまだ発展途上の段階なのだ。演奏や作曲についてもまだまだ不満がいっぱいある。

やるかやらないか全ては自分の心次第なのだろう。

 

Last Theme

Words & Music By Jun Hara At Sunday, December 26, 2004
Piano by Mariko Saitoh,Guitar & Vocal by Jun Hara

 

僕等が思っているより

季節の流れは早くて

全てかけがえのない

ふたりの思い出になって

 

昨日流した涙さえ

いつか笑い話なる

大切なことはそれだけ

ふたりでいること

 

ふるさとを離れた時の

寂しさは忘れはしない

寄り添える誰かを探し

譲れない夢を抱いて

 

この街で君と出会って

この場所でときめきはじめ

傷つけあったことさえも

許しあえることを憶えて

 

君が思っているよりも

僕は助けられているよ

君の唄がその言葉が

心の傷を癒して

 

もうひとりで泣かないで

かかえきれない哀しみも

ふたりで生きて行けばいいから

 

確かな幸せなど

約束は出来ないけれど

君を想う気持ちなら

誰にも負けない

 

君を守り続けること

僕の最後のテーマに決めて